活動状況
情報社会システム研究会
主 査 : 清原 聖子
幹 事 : 李 洪千・小林 哲郎
研究会主旨:
今日、情報通信技術(ICT)の利活用は、行政、医療や教育など様々な公共分野に大きな変化をもたらし、社会にイノベーションを起こしている。本研究会では、ICTの利活用が民主主義の発展やより良い社会変革にどのようにつながっていくのか、そのダイナミズムについて政治学、社会心理学、社会学などの観点から幅広く検討していくこととする。
2014年度 第2回情報社会システム研究会報告
日 時 :
2014年11月19日(水) 16:30~18:00
場 所 :
明治大学駿河台キャンパス
テーマ :
2014年米中間選挙の分析―ICTはどのように利用されたのか?
報告者 :
清原聖子(明治大学)
司 会 :
小林 哲郎(国立情報学研究所)
第2回情報社会システム研究会は11月19日に明治大学駿河台キャンパスで開催され、清原聖子会員が報告を行った。2014年米中間選挙におけるICT利用の現地での観察・分析に基づき、選挙キャンペーンでのネット利用、オンライン有権者登録、電子投票の現状の3つの視点から報告が行われた。
まず、選挙キャンペーンではソーシャルメディアの利用が進む一方で、Americans for Prosperityなどオバマケアに反対する「社会福祉団体」によって献金者を開示する必要のないテレビCM(イシュー広告)が大量に投下された。こうした団体は政党との結びつきが指摘されており、特に有権者情報のデータベース共有が問題となっている。 次に、オンライン有権者登録は、登録に関わる費用の削減、有権者の利便性向上、正確な有権者登録などのメリットがあることから各州で導入が進んでいる。また、導入過程において党派的な対立は顕在化しておらず、オンライン有権者登録は選挙過程において今後最も期待されるICT利用となっている。
最後に、電子投票については2000年大統領選での集計トラブルをきっかけに推進されてきたものの、セキュリティ意識の向上や電子投票機器の老朽化によって岐路に立たされている。2014年の中間選挙でもバージニア州などで電子投票機器のトラブルが発生しており、州によっては紙ベースの投票と併用しているところもある。ただし、2012年に不在者投票へのネット投票を導入したアラスカ州のように先進的な試みも行われており、今後の展開に注目が集まっている。
報告に基づき活発な質疑応答が行われ、分野横断的な幅広い議論が交わされた。