活動状況
間メディア社会研究会
主 査 : 遠藤 薫
幹 事 : 木村 忠正
研究会主旨:
今日、インターネットの浸透は改めて言うまでもない。しかし、メディア状況は、インターネット単独ではなく、放送や新聞など既存メディアとの連携・融合によって、新たな段階へ移っていくと考えられる。このような、ネットとメディアの関係性によって形成される「情報社会」を「間メディア」とよび、その様相を多面的に検討することを目的とする。
2012年度 第1回間メディア社会研究会
テーマ :
「サイバーアクティビズムとソーシャルメディア」
日 時 :
7月28日(土) 15:00〜17:00
場 所 :
報告者 :
八田 真行 氏(駿河台大学経済学部専任講師)
木村 忠正 氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)
司 会 :
遠藤 薫 氏(学習院大学法学部教授)
概 要 :
サイバーアクティビズムは、インターネットの普及と共に、1990年代後半から拡がってきた社会運動ですが、アノニマスなどのハクティビストたちの活動や ソーシャルメディアと結びつくことで、より広範な影響をグローバルに及ぼしつつあります。それは、間メディア社会における言説と行動の抗争のあり方を考え る上で不可欠なアクターと捉えることができるでしょう。そこで、今回の研究会では、サイバーアクティビズム、ハクティビズムの現在とアラブの春を例にした 間メディア社会のあり方をともに考えたいと思います。
八田真行氏「正義のハッカー、ハッカーの正義:ハックティヴィズムの歴史、思想、技術と今後」ウィキリークスによる機密文書のリークや、匿名ハッカー集団 (とされる)アノニマスによる政府や企業関係のサイト攻撃など、最近ではいわゆる「ハッカー」の活動が一般の耳目にも触れるようになってきた。さらに、イ ンターネット自体は言うに及ばず、ソーシャルメディア等のウェブサービスやスマートフォンなど、我々一般人もハッカー文化が生み出した成果と身近に接する ようになってきている。ハッカーとはどのような存在で、どのような思想を持ち、どのような手段で、なぜ今社会に揺さぶりをかけているのか。いわゆる「ハッ クティヴィズム」の現状を、最新の知見に基づいて報告する。
木村忠正氏「アラブの春とソーシャルメディア」
アラブの春では、ツィッター、フェイスブックが反政府運動の高まり、デモの拡大に大きな役割を果たし、「ソーシャルメディア革命」とも言われる。しかし、 ソーシャルメディアは、人々の怒りと行動とをつなげる触媒の働きをするものであり、フェイスブック、ツィッターは、オンライン、オフライン、デジタル、ア ナログを含め、人々が縦横無尽に駆使したコミュニケーションメディアの一部である。本報告では、ジャスミン革命を中心にアラブの春における間メディア社会 のあり方、とくに、多種多様なコミュニケーションメディアが織りなす「コミュニケーション生態系」のあり方を分析、報告する。
報告者プロフィール:
八田真行氏(駿河台大学経済学部専任講師)。1979年東京都生まれ。東京大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。(財)知的財 産研究所特別研究員を経て、現在は駿河台大学経済学部専任講師、国際大学GLOCOM客員研究員。専攻は経営組織論、経営情報論だが、ハッカー文化にも関 心を持って研究し続けている。Debian公式開発者、GNUプロジェクトメンバ、MIAU発起人・幹事会員。
木村忠正氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)。文化人類学の観点から、情報ネットワークと社会・文化との関係、「情報化社会」に関する理論的・実証的 研究に取り組む。主著に、『デジタルデバイドとは何か』(岩波書店、2001年、日本社会情報学会優秀文献賞、電気通信普及財団テレコム社会科学賞)、 『(仮題)コミュニケーション生態系~デジタルネイティブの動態~』(平凡社、近刊予定)など。
遠藤薫氏(学習院大学法学部教授)。専門は、社会システム論、社会情報学。社会と情報の双対性に着目し、社会変動のダイナミズムの解明に、実証研究と理論 研究の両面からとり組んでいる。『電子社会論』(実教出版、2000年、日本社会情報学会優秀文献賞)、『社会変動をどう捉えるか1〜4』(勁草書房、 2009〜2010年)、『メディアは大震災・原発事故をどう語ったか』(東京電機大学出版局、2012年)など著書多数。