活動状況
情報通信経済法学研究会
主 査 : 林 秀弥 (名古屋大学)
幹 事 : 福田 雅樹 (大阪大学)
研究会主旨:
情報通信分野においては、ネットワークのブロードバンド化、インターネットの普及、通信と放送の融合等を背景として、事業者間の競争及び紛争の状況が変化 しつつある。一般競争法及び事業規制法についても、このような変化に対応し得るよう、両者の競合・協働関係を含め、解釈論及び立法論の双方を深めることが 必要となってきている。本研究会は、情報通信分野における事業者間の競争及び紛争に関する今日的な諸問題に関し経済法学の見地からの研究を行うことを目的 とする。
2024年度 第2回情報通信経済法学研究会のお知らせ
日 時:2024年10月3日(木)
14:00~16:00
開催方法:ハイブリッド開始
場 所:(リアル会場)名古屋大学「アジア法交流館」セミナールーム1(2階・210室)
(オンライン会場)Zoom Cloud Meetingsを利用
テーマ:SEP(標準規格必須特許)の市場支配力(仮)
報告者:白石幸輔(名古屋商科大学経済学部准教授)
司会者:林 秀弥(名古屋大学大学院法学研究科教授)
概 要:
従来、日本においては、標準必須特許(SEP)の権利者には市場支配力があるということが自明のこととして独占禁止法違反の成否が論じられてきた。しかしながら、SEP権利者からライセンスを受けなければ技術標準に準拠する製品の供給に支障を来す者の中には、自らも多数の
SEPを保有することで、SEPの権利者との交渉を優位に進めることができる者がいる。また、SEPの権利者が FRAND
宣言をしている場合、SEPのライセンスを受けることを希望する者はその FRAND 宣言を盾に
SEPの権利者との間で不利なライセンス条件を締結させられることを回避することができるかもしれない。そもそも FRAND
宣言とは、SEPの市場支配力に制約を課すものとして位置付けられるものでもある。このため、たとえ競合する技術標準が存在せず、かつ、その技術標準に準拠することが法令上又は事実上不可避となっている技術標準に関して
SEPを有する者であっても、市場支配力を有するとは限らないとの考えもあり得る。実際、主として欧州において、SEPの権利者に市場支配的地位があるか否かが争われた事例において、上記のような事情が市場支配的地位の有無に影響するか否かが問題となったケースが登場している。欧州の市場支配的地位の中心的要素は日本の市場支配力と同じものであるとの指摘があることを踏まえれば、上記外国の事例から日本法への示唆を得られる可能性がある。
主 催: 情報通信学会・情報通信経済法学研究会
参加費: 無料
申込方法:件名を「2024年度第2回情報通信学会情報通信経済法学研究会参加申込」とし、氏名、所属・役職・電子メールアドレス及び御希望の参加方法(会場又はオンラインのいずれか)を明記の上、次に掲げる申込先メールアドレス宛までお申込みください。オンラインでの参加の場合の視聴用のURL等詳細を電子メールにより開催前日までにお知らせいたします。
(申込先電子メールアドレス) kenkyukai@jsicr.jp
(注)会場の席数の都合上、会場での参加について、御希望にお応えできない場合があります。会場での参加を御希望になる方の数が会場の席数を上回る場合には、会場で御参加いただく方を参加申込みの先着順により決定いたします。
- 2024年度 第1回研究会
復活の米国2024年ネット中立性ルール - 2023年度 第3回研究会
欧州メディア自由法から放送サービスを考える - 2023年度 第2回研究会
サイバーセキュリティの社会科学 - 2023年度 第1回研究会
「情報銀行」における健康・医療分野の要配慮個人情報の取扱いについて - 2022年度 第2回研究会
社会資本としての放送ネットワーク ~2030年代のチャンネルプラン~ - 2022年度 第1回研究会
ブロードバンド・ユニバーサル・サービスを巡る欧州主要国の新たな動向
ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の創設 - 2021年度 第2回研究会
AI時代における労働法上の課題 - 2021年度 第1回研究会(2021年度秋季学会大会)
-
2020年度 第1回研究会
台湾の電気通信事業分野における非対称規制の概要とその検討 -
2019年度 第1回研究会
その後のEUと米国のネット中立性政策 - 2018年度 第2回研究会
欧州におけるトラストサービス産業の規制 - 2018年度 第1回研究会
経済の情報化と競争政策 ー 公正取引委員会における私の経験から - 2017年度 第1回研究会
AIネットワーク化をめぐる法と政策の動向 - 2016年度 第2回研究会
ダークツーリズムとICTによる世界の把握
-我々は如何に歴史と社会を捉えているのか?- - 2016年度 第1回研究会
IoTおよびAIアプリケーションの社会的受容性 Social Acceptability of IoT and AI Applications
AIネットワーク化に関する社会的・経済的・倫理的・法的課題 - 2015年度 第2回研究会
地区防災計画と情報通信 ~コミュニティの共助からICTの活用まで~ - 2015年度 第1回研究会
招待講演:欧州におけるインターネット・アクセス・サービスの実効速度計測に関わる法的側面 等
- 2014年度 第1回研究会
「台湾における無線ブロードバンドアクセス事業者の周波数免許更新拒否事件」
「指定電気通信設備との接続の請求に関連する諸制度に関する一考察
‐分岐端末回線単位接続請求拒否差止請求事件判決を題材に‐」 - 2013年度 第2回研究会
<シンポジウム> 東海地方から見た情報通信行政の現状と課題 - 2013年度 第1回研究会
「米国eBay最高裁判決の4要件により競争者同士型の特許訴訟で差止めが否定された事例について
:スマートフォンをめぐるアップル対サムスン特許訴訟の一断面」
「情報通信市場における「公正な競争」とは何か?」
「電気通信事業法制における競争観の展開」 - 2012年度 第2回研究会
「携帯電話2年定期契約の解約金訴訟(京都地裁判決は何故分かれたか?)」
「無線通信分野における企業結合に関する経済法上の諸問題」 - 2012年度 第1回研究会
「プラットフォームから見た英国ICT市場」
「米国における価格圧搾に対する規律に関する一考察 」 - 2011年度 第1回研究会
「Competition, Regulation, and Consumer Protection in Japan’s Telecommunications」